ノンパラメトリック操作変数法

価格と需要のように、説明変数が誤差と相関する内生性のもとでは、通常の回帰は因果関係を捉えられません。操作変数法はこの状況の標準的な対処ですが、関係を線形と仮定しないノンパラメトリック版(NPIV)では、推定も不確実性の評価も難しくなります。このテーマでは、NPIV の学習と、有限標本で保証のある予測区間の構成を研究しています。中心となる成果は Conformal Prediction for Nonparametric Instrumental Regression(Kato, 2026, arXiv:2603.25509)です。

扱う問題

NPIV の推定には、シーブ二段階最小二乗法からニューラルネットワークを使うミニマックス法まで多様な方法がありますが、推定した関数の予測がどの程度信頼できるかを、分布の仮定なしに述べることは難しい問題でした。私たちは、コンフォーマル予測の条件付き保証の考え方を操作変数の設定に持ち込み、利用者が選んだシフト(分布のずれ)のクラスに対して有限標本の被覆保証を持つ予測区間を構成しました。どの NPIV 推定器とも組み合わせられます。条件付きモーメント制約から因果モデルを学習する研究も、このテーマの系列です。

中心となる研究

Conformal Prediction for NPIV のページで、区間の構成と保証の内容を説明しています。

研究の系列

2022年
Learning Causal Models from Conditional Moment Restrictions by Importance Weighting(ICLR 2022)。条件付きモーメント制約を重み付けで扱う因果モデル学習。

先行研究との関係

NPIV の識別と推定の基礎は Newey と Powell が与えました(2003年、Instrumental Variable Estimation of Nonparametric Models)。機械学習による推定では、深層モデルを使う Hartford らの Deep IV(2017年、Deep IV: A Flexible Approach for Counterfactual Prediction)や、Dikkala らのミニマックス推定(2020年、Minimax Estimation of Conditional Moment Models)が発展してきました。これらは関数の推定を対象にしており、私たちの研究は、その上に分布の仮定によらない予測区間の保証を加えるものです。条件付き保証がそのままでは達成できないことは Foygel Barber らが示しており(2021年、The limits of distribution-free conditional predictive inference)、シフトのクラスを限定する定式化はこの限界を踏まえています。

関連テーマ