Conformal Prediction for Nonparametric Instrumental Regression

ノンパラメトリック操作変数回帰(NPIV)に対して、分布の仮定によらず有限標本で成り立つ被覆保証つきの予測区間を構成した研究です。シーブ二段階最小二乗法から機械学習に基づく推定器まで、どの NPIV 推定器とも組み合わせられます。

研究が扱う問題

説明変数が誤差と相関する内生性のもとで、関数形を仮定せずに構造関数を推定するのが NPIV です。推定の方法は発展してきましたが、推定した関数に基づく予測がどの程度信頼できるのかを、分布の仮定なしに述べる方法はありませんでした。操作変数の設定では、通常のコンフォーマル予測が前提とする状況が崩れるため、被覆保証の与え方自体を考え直す必要があります。

提案した方法

コンフォーマル予測の条件付き保証の枠組みを操作変数の設定に持ち込みます。そのうえで、条件付きの被覆を、利用者が選ぶ操作変数のシフトのクラスに対する周辺被覆として定式化し直します。この定式化のもとで、任意の NPIV 推定器と組み合わせられる予測区間の構成を与えます。

主な結果と成立条件

構成した予測区間が、選んだシフトのクラスに対して分布の仮定によらず有限標本で被覆保証を持つことを示しました。保証はシフトのクラスの選び方に相対的であり、クラスを広く取るほど区間は保守的になります。この設計は、条件付き保証を分布の仮定なしに完全に達成することはできないという理論的な限界を踏まえたものです。

先行研究との関係

NPIV の識別と推定の基礎は Newey と Powell が与えました(2003年、Instrumental Variable Estimation of Nonparametric Models)。機械学習による推定は、深層モデルを使う Hartford らの Deep IV(2017年、Deep IV: A Flexible Approach for Counterfactual Prediction)や Dikkala らのミニマックス法(2020年、Minimax Estimation of Conditional Moment Models)が発展させています。また、分布の仮定なしの条件付き被覆には原理的な限界があることを Foygel Barber らが示しています(2021年、The limits of distribution-free conditional predictive inference)。この研究は、推定と限界の両方の系譜を踏まえ、NPIV に対して達成可能な形の被覆保証を定式化して構成した点に貢献があります。

利用できる状況

価格設定や需要推定のように内生性のあるデータで、推定した関係から予測を出すだけでなく、その予測の不確かさを保証つきで示す必要がある場面を想定しています。既存の NPIV 推定パイプラインに後付けで組み込めます。

論文と資料

BibTeX

@misc{conformal-prediction-npiv,
  author       = {Masahiro Kato},
  title        = {Conformal Prediction for Nonparametric Instrumental Regression},
  year         = {2026},
  eprint       = {2603.25509},
  archivePrefix = {arXiv},
  url          = {https://arxiv.org/abs/2603.25509},
}

関連する研究テーマ

公開日: 2026年7月22日。最終確認日: 2026年7月22日。