弱教師あり学習

買った人は分かるのに、買わなかった人と、まだ買っていないだけの人は区別できない。実務のデータには、このようにラベルが部分的にしか得られない状況が数多くあります。このテーマでは、正例と未ラベルデータから学習する PU 学習を中心に、不完全なラベルのもとでの分類と処置効果推定を研究しています。代表的な成果は、ICLR 2019 の Learning from Positive and Unlabeled Data with a Selection Bias(Kato, Teshima, and Honda, 2019)です。

扱う問題

PU 学習の標準的な理論は、ラベルの付いた正例が正例全体から無作為に選ばれていると仮定します。しかし現実には、目立つ顧客ほど先に見つかる、症状の重い患者ほど先に診断される、といった偏りが避けられません。私たちの研究は、この選択バイアスがある状況でも成り立つ学習方法を与えました。

この系統は応用へ広がっています。既存顧客と一般集団という二種類の正例・未ラベルデータから見込み客を絞り込む二重 PU 学習、処置群と未ラベル群だけから平均処置効果を推定する PUATE、正解ラベルの到着が遅れる広告データでの分類器学習などです。新聞歌壇の短歌データを PU 学習で分析する試みなど、言語データへの応用もあります。

中心となる研究

Selection Bias を伴う PU 学習のページで、選択バイアスの定式化と提案手法、成り立つ条件を説明しています。

研究の系列

2025年
PUATE: Efficient ATE Estimation from Treated (Positive) and Unlabeled Units(NeurIPS 2025)。処置群と未ラベル群からの平均処置効果推定。
2025年
Learning from Double Positive and Unlabeled Data for Potential-Customer Identification。潜在顧客の特定を二重の PU 構造として解く研究。
2022年
Learning Classifiers under Delayed Feedback with a Time Window Assumption(KDD 2022)。正解ラベルが遅れて届くデータでの学習。

先行研究との関係

PU 学習は Elkan と Noto の定式化(2008年、Learning classifiers from only positive and unlabeled data)に始まり、du Plessis らがリスク推定に基づく統計的な学習理論を整えました(2015年、Convex Formulation for Learning from Positive and Unlabeled Data)。深層モデルでの過学習には Kiryo らの非負リスク推定(2017年、Positive-Unlabeled Learning with Non-Negative Risk Estimator)が知られています。これらはいずれも、ラベル付き正例が無作為に選ばれるという仮定の上に立っており、私たちの研究はその仮定を外した場合を扱います。分野の全体像は Bekker と Davis の概説(2020年、Learning from positive and unlabeled data: a survey)が参考になります。

ビジネスとの接続

購買データからの見込み客の絞り込み、コンバージョンの遅れを踏まえた広告効果の予測、発見済みの不正だけを手がかりにした審査など、片側のラベルしかないデータの活用が対象です。データの性質に合わせた手法選びからのご相談を、お問い合わせフォームで受け付けています。

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